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タモツの日記
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#289 一番のファン

十勝の田舎町で暮らしている。僕はとある企業の広報担当だ。先日は、溜まっていた広報活動を、半日で一気に終わらせた。それぐらい簡単な作業である。本業はとある施設の運営。けれども、この日も本社へ行かなければならなかった。他チームへの応援業務だ。だが、いつもは依頼されて赴くが、今回に限っては、自ら志願しての業務となる。白衣を着る仕事だ。自ら志願したと言っても、それはちょっとした雑談からはじまった。「それもやってはみたい」。その言葉が取締役まで伝わり、この日に至った。それゆえに、始業前に作業着に着替えることはなかった。白衣を着る仕事には、普段着で行くことにしたのである。

作業は淡々と進んだ。時間が進むのが早い。気がつけば、お昼休み。そして、終業時間。あっという間の1日だった。集中していたと思う。それでも、教えてもらった先輩に勝つことはできなかった。すこし悔しい。実のところ、僕は初心者ではないが、初級者でもなかった。もちろん、中上級者でも。中途半端に、器具の使い方などは知っていた。それゆえ、先輩に勝てるかもしれないと思っていた節もある。それを砕かれた。だが、今後の目標もできたのである。

最近になって、初対面の人とお話しする機会が多くなった。応援業務が増えたからだ。故に、僕の前職を聞かれることも多い。「きのこ農家です」。決まり文句のように答えていたが、よく考えてみれば、僕は農家を5年しか経験していない。研修期間の地域おこし協力隊員の期間を足しても8年だ。それと比べて、実験動物技術者は19年。僕のキャリアを示すなら後者の方が妥当だろう。

それでも、それを語らないのは、すくなからず怖さがあるからだ。やはり、実験動物というワードは扱いが難しい。少数だが、それを受け入れられない人がいることはよく知っている。そんな人に話せば、仕事上の不安要素になり兼ねない。わざわざ危ない橋を渡る必要はないだろう。それならばと、無難にきのこ農家だと言ってしまうというわけだ。

そもそも、僕は自分のことを語ることが苦手だ。とはいえ、語りたい自分もいる。仕事上の提案もそうだ。けれども、それを言わない方がいい理由も知っている。僕が思いつく提案なんて、すでに皆は通り過ぎたあとだろう。ならば、黙っておいた方がいい。仮に良い案だとしてもだ。今のバランスが崩れれば、どこかで不具合が発生するだろう。ひとつの課題を解決しても、どこかで別の課題が生まれると思う。効率化もそう。ときには無駄を省かない方が、トータルでは効率が良かったりするものだ。勤続年数の浅い僕の知らないところで、きっとロジックは繋がっている。それゆえに、語りたい気持ちを満たすための提案はしない方がいいと思う。

だから、語りたくても語らない。語れない。もちろん、需要があれば語るが、そのような場面は、今後もあまりないだろう。それだとストレスが溜まりそうだが、大丈夫。僕にはnoteがあるからだ。ここのおかげで、僕の語りたい気持ちは消化されている。それは自分事を書いているときよりも、自分の記事を読んでいるときに強く思う。そのためか、おそらく、このnoteアカウントの一番のファンは僕だろう。同じ記事を何回も読んでしまう。すこし気持ち悪いが、事実だからしょうがない。もしかしたら、ナルシストなのかも。そうだとしたら、あの人たちの気持ちもすこし理解できる。

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