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タモツの日記
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#288 Groove感

十勝の田舎町で暮らしている。僕はとある企業の広報担当だ。業務は撮影が多い。それに短文を添えて会社サイトに載せる。簡単なお仕事だ。故に、それが主となる業務ではない。僕の主な仕事は、とある施設の運営だ。加えて、他業務の応援へ行くことも多い。この日は、土の上での作業に参加した。はじめての作業は、たのしみ半分、不安が半分。中でも、僕が心配していたのは、身なりと休憩時間の過ごし方。それが不安でたまらなかった。目立たないように、周りから浮かないように。僕のちっぽけな自尊心がそうさせる。逆に、ここさえ乗り切れれば、楽しい作業となるだろう。

身なりは大丈夫であった。汚れてもいい長ズボンに長袖シャツ。日差しは暑いが、肌の露出は避けた方がいいらしい。その考え方で合っていた。おかげで、周りから浮くこともなかった。休憩時間も大丈夫であった。僕だけ専用の社用車がある。そこに籠っていた。いや、疲れてそれどころではなかった。おかげで、普通に休憩をとれた。ここでも、周りから浮くこともなかったのである。

「だいじょうぶですか?」。声をかけてきたのは、何かと僕を心配してくれる先輩だ。僕のマネージャー的な存在でもある。なぜかこの日は、先輩も一緒になってこの作業をしていた。聞けば、はじめてらしい。僕は言われた通りに作業を進めていった。けれども、先輩は違った。同時進行でベテラン作業員が別の作業を行っていたが、それを行っていた。理由は単純。やってみたかったらしい。僕も同じ気持ちを共有していたが、その勇気だけは持ち合わせていなかった。

作業には外国人の研修生も参加していた。インドネシアから来ているらしい。僕の行っていた作業は、彼らに任された仕事。そこに僕と先輩は参加していた。飛び交うのは知らぬ言語。おそらく、インドネシア語なのだろう。まったく聞き取れない。だが、彼らは日本語も理解していた。言葉の違いが仕事の足枷になることはない。意思疎通はできる。けれども、僕と彼らのコミュニケーションは、ジェスチャーが多かった。返事だけは「OK」。その方が、雰囲気は良いように感じた。彼ら同士の会話の内容は、まったくわからなかったが、皆が笑っているときは、僕も一緒になって笑っておいた。

「タモツサン、ギャクダヨ!」。僕は彼らに怒られてしまった。どうやら、凡ミスをしていたらしい。彼らは笑ってる。僕も笑っておいた。すまんすまんとジェスチャーで合図も送っておいた。こうして、彼らとの距離が少しずつ縮まっていく。この件をデザインしていたのは先輩だった。彼らに僕のミスを突っ込ませていたのである。

「groove感、出てますね」。最近、この言葉が先輩の口癖になっていた。僕もことあることに使っている。確かな意味はよく分からないが、なんとなくのニュアンスは理解しているつもりだ。それはなにも、インドネシアの彼らとの絡みだけから生まれたものではない。会社内とはいえ、別チームとのコラボレーション。そこで生まれる交流的でありながら、同じゴールを共有している一体感を、僕はgroove感と認識している。会社というコミュニティの中で生まれるgroove感だ。

おかげで楽しい応援作業となった。groove感。今後も、この言葉の元に、他チームの作業をしようと思う。そこに必要なのは敬意だろう。人にも、作業にも、現場にも、敬意を払って接しなければ、このgroove感は生まれない。そのためにも、相手を信頼することが必要だと思う。

その方法として、良いコミュニケーションを取ることが、広く世間一般的に強く推奨されている。だが、コミュニケーションが苦手な僕だからかもしれないが、それを必須だとは思わない。ただただ、自分から信頼を寄せていく。そのための担保は、同じゴールを共有しているという事実だけでいい。親友になる必要はないから、それだけを頼りに信頼を寄せていく。さすれば、相手から信頼される可能性が生まれる。敬意を払い合える関係性になれるかもしれない。その上で、groove感は生まれるのだと思う。

もちろん、裏切られる恐れはつきまとう。できれば、それは避けたい。けれども、それを言っていたら、何もはじまらない。ここでもあの言葉が脳裏をよぎる。「人を信じられぬと嘆くよりも、人を信じて傷つく方がいい」。だから、最近の応援仕事は楽しいのだろう。気持ち良さすら感じる。2026年、僕の中での会社のテーマは「groove感」だ。

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