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タモツの日記
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#272 パスワードに縛られた

十勝の田舎町で暮らしている。僕はとある企業の広報担当だ。とはいえ、入社してから1年も経ってはいない。前職は農家だったが、その後始末は、いまだ完全には終わっていなかったりもする。青色申告もそう。昨年はまだ、農業収入があった。その分の申告をする義務もあるわけだ。

確定申告はめんどくさい。故に、外部委託をしていた。格安だったからありがたい。手書きで作ってくれる。だからだろうか、昨年からは大幅に値段が上がった。どうしたものかと考えた末、僕は自力でやってみることにした。何事も経験。もしかしたら、楽しいかもしれない。だが、そんな淡い期待もすぐに壊れた。めんどくさい以外の感情はなかったのである。

何も、めんどくさいことは、書類の作成だけにとどまらなかった。e-Tax。国税電子申告・納税システムである。いろいろとUIが分かりづらい。そう思うのは、僕の歳のせいであろうか。表記も揺れている気がする。なにより、認証が多い。ここまでセキュリティを強化しなくてはならないのだろうか。マイナンバーカードのパスワードなんて覚えちゃいない。いろいろと思いつくパスワードを試したいが、チャンスは3回だ。そこを失敗すればロックされる。Web上では解除できない。時間も解決してくれない。電話でも無理だ。役場の窓口まで行く必要がある。対面が必要なセキュリティは強固。テクノロジーの発展した現代でも、それは変わらないようだ。

昨年の僕は、3回目の入力で突破した。だが、セキュリティの壁は厚い。まだまだ続いたことを覚えている。電子証明書だ。これもパスワードがいる。けれども、まったく思い出せなかった。見当もつかなかった。猶予は5回もあるのに、それを生かせなかったのである。

でも大丈夫。パスワードのリセットのために、役場へ行く必要はない。コンビニでできるのだ。ただ、パスワードリセットの予約が必要。スマホで専用アプリをダウンロードして、マイナンバーカードの情報を入力。そして、スマホでマイナンバーカードのICチップを読み込むと予約は完了する。あとは、コンビニの端末でパスワードのリセットと再設定を行えば、電子証明書を使えるというわけだ。ほんとめんどくさい。

そんな悪戦苦闘から1年。僕は同じ過ちを繰り返した。マイナンバーカードのパスワードは3回目で突破した。電子証明書のパスワードも、再設定予約を入れてコンビニへ向かった。けれども、今年はコンビニの駐車場で思い出した。「もしかして、あれかも」。きっと、昨年と同じシチュエーションになったことで思い出したのであろう。正確には、同じことを繰り返す流れの中で、昨年の僕の行動パターンを、なんとなくだが推測できた。この状況で再設定するパスワード。試しに入力してみたら、ビンゴとなったわけだ。

おかげで、今年の確定申告も無事に終わった。パスワードも、今回はノートに書き記しておこう。それにしても、めんどくさかった。お願いだから、この領域にもテクノロジーの進化が訪れてほしい。いったい、僕らはいつまでパスワードに縛られた暮らしを続けるのか。

マイナンバーカードの出現で、パスワードからの卒業に近づくと思っていたが、あまり変わらなかったのは残念でしかない。故に僕は応援している。後ろめたいことはない。確定申告も、きっちりと書かせてもらったのである。

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