





十勝の田舎町で暮らしている。僕はとある企業の広報担当だ。一次産業に近い会社だからか、冬の仕事は少なく、年末年始の休みも長い。けれども、特に予定を入れなかったのは、理由は複数あるけれど、怠惰な日常を貪るのも悪くないと思ったから。とはいえ、日光を浴びなさすぎることは、精神衛生上にも良くないことは知っている。故に、連休の後半になって家を後にしたというわけだ。
日光を浴びたければ、散歩すればいい。そう思って、帯広の公園を目指した。久しぶりのドライブは快適。12月に多く積もった雪も、それ以降は増えていないから、路面は夏のそれと変わらない。とはいえ、帯広の除雪事情は相変わらず難があり、目指した公園周りの道路は、半透明の分厚いアイスバーン。だからといって、運転が億劫にならないのは、慣れと安全意識と冬用タイヤの性能のおかげだろう。
冬の公園は賑わっていた。野球場と陸上競技のフィールドは、除雪されることなく使用不能になっていたが、代わりに屋内スケートリンクが人を集めているよう。散歩がてら中を覗いたが、子供たちは綺麗なフォームでスピードを出し、練習に精を出している様に見えた。ここでのスケートは、娯楽的なアクティビティではなく、スポーツとして取り組む対象のようだ。別のスケートリンクも見学してみたが、そこではフィギュアスケートの練習も行われていた。生まで見るジャンプやスピンは、素直に凄かった。いいものを見せてもらったと思う。
屋外でもスポーツは盛んだった。土は見えないが、除雪はされている遊歩道。普通にウォーキングしている者も多い。ランニングしている者はいなかったが、その代わりにクロスカントリー用の板を履いた者が、ときおり、僕を抜いていった。よく見れば、遊歩道の端には、2本の細い溝が刻まれている。そこをスキーで滑る者もいた。ここでは、スキーも娯楽的なアクティビティではなく、スポーツとして取組む対象のようだ。
パークゴルフ場も賑わっていた。パークゴルフとは、規模の小さいお手軽なゴルフと認識している。北海道では人気のスポーツだ。主に高齢者がプレイをしている。ただ、夏のスポーツだと思っていた。実際は、冬でもプレイ可能らしい。すくなくとも、この公園では盛んだった。
コースの輪郭に沿って除雪されている。雪の壁は30cmくらいはあるだろうか。故に、適当に打っても、雪の壁で跳ね返り、フェアウェイから外れることはなさそう。気のせいか、夏よりもスイングが大きい気がする。とても楽しそうだ。すこし挑戦したくもなったのである。
僕の散歩は続いた。だが、遊歩道の除雪は、目の前の途中で終わっていた。代わりに、誰かの足跡が先へと続いている。僕は、その足跡を辿ることにした。周りに人はいない。けれども、足跡は続く。ちょっとした冒険となった。荒らされていない雪原が美しい。どこまでも続く足跡は、ゴールが見えない。けれども、不安は無かった。公園内だからだ。きっと、そのうち道路に出るだろう。ちょうどいい。今に流行っている『フラット登山』も、こんな感じだろう。街路樹の袂には、エゾリスの姿も。かなりの近距離だ。警戒はされているが、逃げない。クルミをかじっている。ここでも、いい体験をさせてもらった。
せっかくなので、ランチも外食することにした。十勝と言えば『豚丼』だろう。北海道だから、海鮮も美味い。けれども、それらはキャンセルした。暖かくて、居心地のいいカフェの方を選びたかった。寒い雪景色を満喫した後は、それらの店が一番と思えたからだ。落ち着いた店内は、木のぬくもりが感じられる雰囲気。薪ストーブも、室温以上に暖かい。すこしお洒落なごはんは、都会に行けばいくらでも食べられるものかもしれないが、外の寒い1月の十勝で、それを堪能できることは、やはりご当地の魅力だと思った。
その後、僕はイオンに向かった。目当ては、六花亭と柳月である。ここでは店舗が隣同士。それぞれの店で、お菓子をひとつずつ買いまくる。それを駐車場の車の中で食べた。やはり、僕の中での優勝はバターサンドであった。三方六も捨てがたいが、不動の順位は覆らなかった。季節限定の豆大福も絶品で、なんだかんだ言っても、あんバタサンは外せなかった。あと、防風林も。
〆は温泉。十勝川温泉や晩成温泉も捨てがたいが、帯広の街中にある温泉がいいことも知っている。そこでいい。いや、そこがいい。気が付けば、帯広の街中で1日を過ごしていた。割と、冬の十勝を満喫したと思う。おかげで、日光も浴びれた。気持ちも上向きだ。もうすぐ、仕事もはじまる。いい気分転換にもなった。十勝は冬でも最高なのである。