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タモツの日記
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#241 乾燥したバジル

十勝の田舎町で暮らしている。僕はとある企業の広報担当だ。入社してから、数ヶ月が経とうとしている。仕事場には慣れてきたが、仕事内容については多岐にわたるので、慣れたとは言い難い。スケジュールもそう。未だにばたばたしているが、もしかしたら、これが通常になるのかもしれない。

入社当初は、プライベートを充実させようとしていた。自営の農業を離れ、久しぶりの務め人となるからだ。仕事は割り切って、土日祝日を楽しめるかどうかが、日々の暮らしの楽しさの肝となると、そう考えていたが、蓋を開けてみれば、仕事は楽しく、プライベートな時間も、意識して頑張る必要もなく、普通に楽しんでいれば、それで充実した日々を送ることができたというわけだ。

あとに残ったのは、ガレージの薪ストーブと、庭の小さな家庭菜園。手間を掛けるつもりで形にはしたが、結局、最低限の仕事しかしていない。なんなら、負担にもなっている。薪ストーブは煙突の設置するところで止まり、庭の家庭菜園は水やりと雑草抜きだけは欠かさず行ったものの、それ以外は放置。煉瓦で囲った畑の外には、背の高い雑草が立ち並んだ。それは庭の一斉草刈り時に、チップソーで刈りとった。だが、誤って畑内のバジルにも刃は当たってしまった。悲しいかな、一株がお逝きになった。

3株になってしまったバジル。相変わらず、先端では花を咲かそうと必死だ。けれども、下の方に目をやれば、しおれて色が抜けてる葉も少なくはない。季節はもう9月だ。今年も暑いとは言うけれど、朝方の冷え込みは、植物にとってはきつそう。そういえば、ご近所さんからのお裾分けにも、立派なバジルの葉はあった。とっくに、収穫を考える時期に入っていたというわけだ。

僕は収穫を試みた。けれども、全部は採らない。まだまだ、成長を見込める小さな葉が多かったからだ。決して、めんどくさいわけではない。やりはじめれば楽しく、未来の僕にもお裾分けしたかったのだ。

そのためか、想像してたよりも収穫量が少なかった。専用の機械で乾燥させるつもりでいたが、気持ちが萎えてしまう程の量だった。故に、電子レンジで乾燥させることにした。

耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、そこにバジルの葉を並べる。ラップはせずに、600wは10秒の設定でスタートした。加温が終わり、扉を開けてみれば、温かくも、ふにゃふにゃなバジルの葉。ぱりぱりにはほど遠い。もう一度、同じ設定でチン。それでも、ふにゃふにゃ。次は20秒にしてみると、葉は黒くなった。焦げたわけではなさそうだが、見た目は悪くなってしまった。

根気よく何回も続けた、600wは10秒の設定。おかげで、葉のボリュームは減り、敷いたキッチンペーパーには水を吸った形跡も。そこから更に続ければ、葉はぱりぱりとなり、立派な乾燥バジルが出来上がった。気がつけば、部屋の空気もいい香りで包まれていたのである。

量は少なかった。おそらく、パスタ2回で無くなるだろう。けれども、大丈夫だ。庭の菜園にはまだまだある。問題があるとしたら、僕の重い腰だ。それを軽くするためにも、早く乾燥バジルを使いたい。保存用にしたがったが、おそらく無理であろう。この香りを嗅げば、備蓄も我慢が必要になる。めんどくさいけど、来年も栽培しようか。悩みの種だけはすでに開花しているようだ。

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