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#218 とある広報担当者の物語

十勝の田舎町で暮らしている。僕はとある企業の広報担当だ。とはいえ、専任ではない。他の業務の傍らで進めている。その比率は8:2。微々たるものだ。そもそも、会社に広報部はない。業界内を見ても、その部署を置いてる企業はごく僅かだ。置いていたとしても、とりわけ業績をのばしているとは限らない。つまりは、必要かどうか分からない役割に就いたというわけだ。

僕にとっては都合がいい。専任で任されるほどのスキルを持ち合わせてはいないからだ。農家時代に取り組んではいたが勝手が違うだろう。とはいえ、全力で取り組む。そのためにも、いまいちど、『伝える』ということを考えてみたいと思う。

そもそも、『伝える』という言葉は、意味の範囲が広すぎる。広報の文脈で言えば、伝言ゲームのような『伝達』ではないだろう。かと言って、有益な情報などを発信する行為そのものでもない気もする。上手く言い表せないが、広報する対象と、受け手となる人とを『繋げる』ことが近いのではなかろうか。

そう考えれば、『伝える』ということは、単なる『情報発信』だけでは終わらない。まずは広報となるメディアと受け手が繋がる必要がある。方法は多い。web上のテキストで言えば、結論から入ることもそのひとつだろう。アイキャッチに画像を使うことも然りだ。

そのような広報が受け手と繋がる方法の中で、僕は最も効果的なものを知っている。リアルにおける挨拶と共感できる雑談だ。対面なので効率は悪いが効果は高い。おそらく最強であろう。先日も、その恩恵を享受した。

外での作業中、散歩中のおばあさんが僕の方へ向かってきた。「おはようございます、今日も暑いですね」。あいさつは僕から。その言葉を皮切りに、気が付けば10分以上も立ち話をしてしまった。会話の内容も、自然と僕の仕事のことになり、それは広報として『伝えたい』ことの一部であったというわけだ。

これは僕が写真で学んだことの応用だった。背面には同じロジックが存在する。そしてこのロジックは、他でも機能してくれるであろう。このために写真をやって来たわけではないが、応用できるステージに立てたことは単に嬉しい。ロジックの答え合わせも出来るからだ。もし、上手くいかなければ、ロジックを見直さなければならない。さすれば、僕の考えるロジックは真に近づいていくだろう。応用とは、そういう一面も持ち合わせていると思う。

経験や学びで得られる一番の利はロジックの理解だと思う。「結果ではなく、その過程が財産になる」という言葉には賛同するが、厳密には過程の中で得たロジックの理解が1番の財産だと思う。真理を知るとはそういうことだろう。

とはいえ、広報は任された仕事だ。独りよがりなことはしない。自己満足も御法度。そこは自戒しておこうと思う。結局は、普通のことを普通に行うことが正解だろう。すでにスケジュールは組みはじめている。あとはそれらを淡々と積み重ねていくだけだ。

だが、バレないように僕のエッセンスは入れておこうと思う。いたずら的に。それくらいの裁量権は頂いている。まちがいなくゴールは同じだから蛇足にはならないはずだ。もちろん、本筋の邪魔にならないように配慮は怠らない。そもそも、それは『伝える』ではないかもしれないが、結果的に『繋げる』ことにはなるだろう。そう考えれば、それも立派な広報活動の範疇だと思う。

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