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タモツの日記
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#194 減税が恐ろしい

卵が値上がりしたとき、いよいよかと思った。デフレからの脱却。正直に言うと、めんどくさい。慣れた暮らしに変化が訪れるからだ。いっそうのこと、通貨の価値は変わらなければいいのに。そんなことも思ってしまう。

けれども、経済圏の持続を考えればそうも言ってはいられない。とはいえ、このインフレは円安に伴うコストアップによるものだろう。そこに人件費は含まれていない。最悪なパターンのインフレだ。生活が苦しくなる。誰かのせいにしたくもなる。だが、この場面での得策は"我慢"であろう。このインフレには希望の光もあるからだ。

2024年、政府の税収入は過去最高を記録した。輸出関連企業が円安で業績をのばしたからだ。法人税収入も過去最高を記録する見通し。おそらく賃金も上がるだろう。さすれば需要も増える。景気の良くなる兆候がそこにあるわけだ。今は最悪なパターンのインフレだが、徐々に最良なパターンのインフレに変わっていくだろう。

故に今は我慢だ。身の丈に合わないものは買い控えしたほうがいい。これ以上のインフレを防ぐことにも繋がる。農家としては、淡々と適正価格での販売機会を増やしていく。それが正解だと思う。

おそらく、好景気が一次産業まで降りてくるまでには時間がかかるだろう。早くても3年は掛かると思っている。まずは消費者の所得があがり、小売店の売上があがり、農協や問屋の利益があがり、やっと農家の収入があがるわけだ。

とはいえ、3年も待てない。待ってたところで収入も劇的には変わらないだろう。サプライチェーンの底辺産業とはそういうものだ。そもそも、僕が離農を考えるほど儲かっていない理由に、インフレの影響は少ない。微々たるものだ。税金や社会保険料の重圧も然り。仮にそれらがゼロになったとしても、僕は離農を考えるだろう。故に消費を我慢をしつつ、売上をのばす方向に頑張ることが正解と思う。誰かに対して中指を立ててる暇もないわけだ。

僕は今、乾燥きのこの販売に注力している。今までに試してはいなかったものだ。いくらかの経費も掛かっている。おそらく、これが最後の新規商いになるであろう。価格も高めだ。正直に言うと、この商品のために減税を期待している節もある。富裕層が潤うからだ。高値を付けても、売れる可能性は上がるだろう。

そう考える農家さんは多いと思う。米の転売問題で気付いた農家さんもいるはずだ。高くても買ってくれる人はいると。おそらくダイレクト販売で値上げをする農家さんも出てくると思う。小売業も然り。このインフレは恐ろしい。生産者としては歓迎するが、消費者としては忌避したい。おそらく、庶民では買えなくなるものが多くなるだろう。消費税ゼロという名の全品1割引きセールも焼石に水。ニセコで起こっていることが、日本中で起こることになる。

やはり経済は難しい。誰かが笑えば、誰かが泣く。減税は嬉しいが、怖くもあるというわけだ。そして忘れてはいけないのが米農家さんの存在理由だ。僕ら庶民が安い米を食べられるために存在しているわけではないのである。全員ではないと思うが、すこしでも高く買ってくれるお客さんを大切にするだろう。本当のところは分からないが、僕ら庶民はそのくらいに思っていた方が健全だと思う。軽々しく感謝の言葉だけを伝えてもいけないというわけだ。

それでも僕は乾燥きのこに高値を付ける。昨今のインフレは関係ない。はじめからターゲットは富裕層だからだ。けれども後ろめたさはある。できれば全ての欲しがる人に渡したい。けれども無理だ。そのために自分を犠牲には出来ない。経済合理性から考えれば、僕のこの想いも真っ当なものだと思う。けれども、農家としてはどうなのか。

最近になって想うことがある。おそらく僕は農家に向いていないのであろう。

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