





十勝の田舎町で暮らしている。僕は地域おこし協力隊だ。任務は自身の就農研修と、所属する生産組合の活性化。生産物の良し悪しを知るために、組合の仕事である「選別」も行っている。
選別は難しかった。まずは規格を覚える必要がある。その規格通りに数を揃えてパック詰め。言葉にすれば簡単だが、実際は悩むところが多い。中途半端なやつがいるからだ。最後は主観が出る。それは仕方ない。だが、ブレてはいけない。それが難しかったのだ。
作業量的には楽だった。生産物が少ないからだ。早いときは1時間もかからない。多いときでも午前中には終わる。配送トラックは定時に来るので、時間に追われることもあるが、それも常識の範囲内であった。
選別が終わると規格外品が出る。僕はそれをいつももらっていた。家で食べるためだ。もうひとつ理由がある。それを使って料理の研究も行っていた。僕は料理が好きだ。ここで研究したことは、おそらく就農した後に役立つだろう。その思いを胸に取り組んでいた。
「佃煮にするといいよ」。選別所を任されているおばちゃんは、そう教えてくれる。たしかに形の悪いきのこは、細切りにして佃煮にするのがベスト。美味しいし、量も減る。大量に規格外品が出たときは、佃煮がベストだろう。
だがしかし、佃煮では華が無い。もっと目を引く料理がほしいのだ。和より洋。行きついた先はパスタ料理であった。きのこは油との相性がいい。油で煮込む『アヒージョ』なんて料理があるくらいだ。にんにくとの相性もいい。和風パスタでも華があるが、ペペロンチーノ風の方がいいと思った。シンプル故にきのこの美味さを実感できるからだ。
きのこは薄切りにした。いろいろと試したがこれがベスト。パスタは基本的にソースを食べる料理。大きめに切ったきのこのパスタも美味しかったが、薄切りにして美味さを油に移して食べた方が料理としてバランスがいい。ひとつの料理として調和がとれていると思う。
オリーブオイルは多めに。フライパンは弱火。薄切りのきのこを入れる。スライスしたにんにくも入れる。じっくりと火を入れていく。カリカリの一歩手前まで。辛さは邪魔になりそうなので入れなかった。
塩分濃度の高い湯でパスタを茹でていく。ここから先はペペロンチーノと同じ作り方だ。茹で上がったら、茹で汁をフライパンに加えて塩味を付ける。茹でたパスタも加えて、ソースを乳化させる。皿に盛り、上から黒胡椒をふりかければ完成だ。
これはもう美味い。Twitterでもつぶやいてみたが反応はよかった。あとはこれをブラッシュアップさせていく。まだまだ粗削りな部分もあるからだ。食材は豊富にある。僕の料理は止まらないのである。