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タモツの日記
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#122 窓からの公園

僕は高級住宅街で暮らしている。だが家賃の半分は会社持ち。故に高額の部屋は借りられない。つまり住んでいるアパートは安かった。レア物件と言えるだろう。とはいえ、近所にはお城のような家が立ち並ぶ。高級外車にも驚かなくなった。すれちがう人もエレガント。そう見えるのである。

通勤方法は徒歩だ。片道30分の散歩道。半分以上は勤め先の敷地内。自転車でも通勤できるが、なんとなく歩きたくなる通勤路。仕事はデスクワークが中心だから、いい運動にもなる。考えごとも捗るのだ。

雨の日はもっといい。傘を深めにさせば、そこにはプライベート空間も広がる。急ぐこともない。ゆっくり歩ける。決まった道もない。その日の気分で道を変えられる。

ある晴れた日、その日は朝から暑かった。汗をかかないように、いつも以上にゆっくり歩く。視線も落として淡々と足を運んだ。時間がかかるから、いつも以上に深く考えごと。気が付けば法面保護の上を歩いていた。右を見れば眼下に歩行者。はずかしい。すこし戻って散歩のやりなおしだ。

仕事場に入ると、外へ出る必要はなくなる。僕はそれが嫌だった。故に本社へ提出する月の勤務表は、未だに郵送している。そのために外出できるからだ。ここは敷地内に郵便局もある。そこまでの散歩も業務の内。空が青い日は背伸びなんかもしてみるわけだ。

僕の仕事場はビルの高層階。なかなかお洒落な外観のビルだから、廊下の壁は全面ガラス張り。施設内にある窓からの景色も抜群だ。大きな公園が見える。仕事中、そこからの景色を見るといつも思う。写真を撮りに行きたい。その想いを叶えたのは、この事業所に配属されてからすぐのことだった。

僕のカメラは67中判フィルム機。この日に選んだレンズは105mm。フルサイズ換算だと50mmの標準画角のレンズ。詰めたフィルムはモノクローム。園内では自転車を使わず、徒歩で隈なく巡った。

木漏れ日の林。石の階段。散髪された生垣。流れる水面。溢れる落ち葉。どれもがお気に入りの一枚となった。歩かせた足も限界に近かった。

これまでいろいろなところで暮らしてきた。ここは、おそらく過去一に都会であろう。車の出番も少ない。日頃のスーパーも徒歩で通っている。いろいろと大変で忙しいはずなのだが、流れる時間は一番ゆっくりかもしれない。

けれども振り返ると、ここでの暮らしはあっという間だ。1ヶ月ほど住んでみたが、怖いくらいに。便利すぎるのだろうか。暮らしってなんだろう。そんな問いも生まれたのである。

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