





医療系の研究施設で働いている。僕は短期転勤族だ。今の現場は7ヶ所目。故に、引っ越しも慣れたもの。コツは整理整頓を諦めること。すべてを梱包。整理整頓や断捨離をするなら普通のときの方がいい。わざわざ忙しい引っ越し準備に合わせる必要はないのである。
ただこれを実現できるのも、費用が会社持ちだから。『やっかい』。そう書いた段ボールもある。中身は粗大ゴミだ。それも一緒に引っ越している。
いらないものは日常で捨てている。スキーの板もそうだ。以前に全力で取り組んでいたことがある。6本も持っていた。雪の降らない土地で暮らしているときに処分したが、1本は確保しておいた。またいつか雪国で暮らすこともあるかもしれないと思ったからだ。
そして、そのときが来たのである。ここは北海道。雪国だ。春に引越してきたが、月日は経って今では雪も積もり出している。写真も撮った。長距離のドライブはしなくなったが、楽しく雪国ライフを送っている。スキーもやりたくなってきた。
北海道は仕事で来ている。そのモチベーションは写真だろう。だが密かにスキーも楽しみにしていた。ニセコに行ってみたいのである。
僕は20代の頃、草野球部の幹事をしていた。部内にはいくつかの派生部があり、スキノボ部もその1つ。スキーとスノボを愛する者の部活だ。そこの部長も兼任していた。
あの頃の年末年始はスキノボ合宿に充てていた。およそ3泊4日。回数を重ねる度に遠くのスキー場へと足を運んだ。群馬からはじまり、長野、新潟、福島と、最後は岩手の安比高原だった。
「次はニセコだな」。誰かがそう言うと部の全員のテンションは上がったが、それが実現することは無かった。海を超えるハードルは思った以上に高かったのである。そんなこともあったから、ニセコで滑りたいと思っていたわけだ。
ニセコのスキー場はよかった。正直、雪質は夕張や富良野の方が上と思ったが、規模やゲレンデのレイアウトなどでは僕好みだったと思う。だが板は合っていなかった。ここの売りは非圧雪なのだろう。幅広な板がほしくなる。スキーヤーよりもスノーボーダーの方が楽しそうだ。
僕の板はというとオールラウンダーよりもすこしスピード系。大回りで高速安定性を重視した板だった。故に非圧雪なゲレンデでは、浮力を維持するのに四苦八苦。それも楽しいが気持ちよさはあまりなかったのである。
それでも楽しかったニセコ。飲食店にも入った。ここのハンバーガーを食べることも、ニセコに来た目的の1つ。客は欧州系の外国人ばかりである。店員もそう。出てきたハンバーガーも日本離れしていた。とにかく大きい。けれども美味しい。ちょっとした外国を味わえたのである。
もちろん写真も撮った。だがボツを連発。おそらく気持ちが負けていたのだろう。それくらい素晴らしい場所であった。結局、お気に入りの一枚は宿の壁を写した1枚であった。
雪景色はいい。けれどもボツを連発してしまう。それはニセコから帰って来ても続いた。まずはこの景色に慣れることから。あまり遠出は出来ないが、なるべく近所で雪景色を見て回ろうと思った。僕の写真は止まらないのである。