『本当は目標の10倍くらい欲しいのでは?』
その質問は、実施したクラウドファンディングを取材して頂いたときのもの。 さすが記者さんと思いつつも、本音は100倍くらいあっても困らないものでした。 商売をするうえで、広告はとても大切なもの。それは農業でも変わりません。 けれども巨額な広告費まで賄える売り上げをつくることは難しく。 帰するところ、農業組合に販売のすべてを任せるか、もしくは費用の掛からないSNSでの発信となるわけです。
ただ、インターネットがもたらした宣伝方法は、SNSでの個人発信だけではありませんでした。 一昔前なら、広告の出向先はテレビや新聞、ラジオ、雑誌が主流。どこも費用がかさむ媒体でした。 小規模事業者では手を出せないものばかり。けれどもインターネットは小額から行える広告も生み出してくれました。 これを試したいと思い、クラウドファンディングを計画したというわけです。
とはいえ、小額とは言ってもそこそこまとまった予算が必要。 そこを解決するためにプレミアム商品を用意しました。 商品の売り上げをその商品の広告費とし、その商品の売り上げを上げていく。 その回転の初速費用をクラウドファンディングでお願いしようと思ったわけです。
結果から言うと、あまり上手くいきませんでした。すみません。 そもそもクラウドファンディングにも広告費は必要。コミュニティを持っていないのなら尚更。 その費用は持ち出しで行ったのですが、回収はできたものの、次の広告費を賄える量ではありませんでした。 ただ、数種類の広告を試してみたのですが、一律に上手くいかなかったわけではなく、 そこそこ良かったものと0点なものが混ざっていて、その差が生まれた理由は把握できたので、 『試験運用』としては有意義なものになったと思っています。
なにより把握できたのは、思っていた以上に広告運用は難しかったということ。 考え方や気を付けるポイントは把握していたつもりでも、精度はお粗末だったと思います。 結局、足りないと思われるポイントが多すぎて、上手くいかない原因の特定もままならず。 『試験運用』の数も足りませんでした。
それでは、このクラウドファンディングが失敗だったかと言えば、そんなことはなく。 やはりやってよかったと思えるものでした。 多くの支援者さんに出会えることもできましたし、たくさんの応援コメントも頂き嬉しかったです。 『ありがとうございます』と、口に出したり文字にすることも多かったですが、そう言えることは幸せなこととも思えました。 商売に関係なく、僕の作ったものを届けられることと、それを受取ってもらえること、 それは当たり前なことではなくて、本当にありがたいことだと思います。 クラウドファンディングの目標達成に導いてくれたことは本当に感謝しております。 だからこそ、上手くいかなかったことに対しては申し訳なく思っています。すみませんでした。
そして、これは想定外のことだったのですが、クラウドファンディングのプロジェクトページを経由しての取材依頼が2件ありました。 プロジェクトページの本文は重要なポイントだったので、時間を掛けて丁寧に作ったのですが、思わぬ扶助となりました。 実は文章を誉めてくださったことも、このブログをはじめる後押しにもなっていたりします。
分かったことは、広告運用はそうとうに難しいということ。 それとインターネット越しではなく対面でのやりとりが、いかに重要であり、尊くもあるということ。 できることならば、クラウドファンディングの支援者さんとは直にお会いしてお礼を言いたいです。 そのため、今後はインターネットにおける少額広告運の試験運用は続けつつも、対面でのやりとりが可能となる広報活動を模索していこうと決めました。
その想いから、春のハンドメイドの雑貨マルシェ出店へと活動は移っていくわけです。
※ 参考までに以下がクラウドファンディングのプロジェクト文章です。
はじめまして。
十勝で椎茸農家を営んでいる正脇と申します。
この度、農園で採れる椎茸のうち、希少なLサイズ優品のものを、プレミアムな『佐幌の椎茸(さほろのしいたけ)』としてご用意させて頂きました。
さて、ありがたいことに僕の育てている椎茸は『美味しい』との声を、多くのお客様から頂いております。
おかげさまで、いつも品薄状態。
個人出荷のほか、生産組合を通して小売店へも卸させて頂いているのですが、基本的には、いつも供給不足で申し訳なく思っています。イベントへ出店しても早い時間で売り切れてしまうことも多々あります。
ですので、供給過多が叫ばれている昨今の農業界隈ですが、供給不足が僕の農園の課題だったりもします。(WEB経由での注文が少ないのは、僕の宣伝が下手だからと思っています。)
でも実のところ、僕の暮らす十勝の気候は、椎茸の栽培に適していません。
一般的な栽培方法では、全国はもちろんのこと、道内の他地域の農家さんとも同じようにはいきません。それならばと、いっそのことと、2021年から仕込む品種のすべてを旨味を追求したものへと振り切りました。
あえて、栽培のしやすさや、見込める収穫量の多さは捨てました。
それでも、そこそこの収穫量を確保できるのは、十勝の厳しい気候と、地域に根付いた栽培方法のおかげです。とはいっても、やはり生産量は少なく、つねに供給不足なのはこのため。売り手市場気味でも経済的に厳しいのが現状です。
この課題を解決するために企画したのが、このプレミアムな『佐幌の椎茸』というわけです。
農園で採れる椎茸のうち、希少なLサイズ優品のものを、プレミアムな『佐幌の椎茸』として販売致します。
・生産農家の少ない旨味重視の菌種
・稀な栽培方法に由来する風味と歯応え
・傘の大きさ7cm以上のインパクトと希少感
誰もが一度は食べてみたい、この手に取ってみたいと、そう思ってもらえるブランド椎茸を目指します。
そのため、申し訳ございませんが、日本でもトップクラスに高い価格をつけさせて頂きました。
ブランドの『認知』はこれから積み重ねていく予定ですが、『品質』はトップクラスのものと自負しております。
この『佐幌の椎茸』の販売を通して、皆様からの支援を受けたいと思います。
頂いた支援金は、さらなる資金調達のために『佐幌の椎茸』の宣伝広告費として使わせて頂きます。
他には、農園の運営や地域の栽培文化を次世代へ繋げるための費用にも使わしていただきます。
プロジェクトの性質上、一番に積み上げたいものは『佐幌の椎茸』の認知です。
支援してくださる方、お客様になってくれる方、ならない方、それらを問わず多くの方に『佐幌の椎茸』を知って頂きたいです。
ですので、直接的な支援はもちろんありがたいのですが、口コミ拡散して頂けるだけでも大変助かります。
現状、僕の『認知』を広める活動は、Webサイトの作成、リーフレットの作成、農家の参加できるイベントへの出店を行ってきました。
また、季節を問わずに出店するため、写真クリエイターとして参加できるイベントへの参加も模索しています。
もちろん、頂いた支援金で行う予定の広告の出稿先も模索しています。
参考リンク:サホロ椎茸 公式サイト
そして、『認知』を広める活動の一旦のゴールは、東京でのギャラリーを貸し切った写真展の開催と成功と考えています。
ゴールを目指すときは、また別途でお願いすることになるかもしれませんが、まずは『認知』の裾野を広げることに、いまは全力で取り組みます。
参考リンク:ほぼ毎日更新の椎茸写真
何卒、応援とご協力のほど、宜しくお願い致します。
リターンについて
3,000円支援してくださった方には、農園オリジナルのポストカード6枚をお送りします。
ほぼ毎日撮り溜め続けている椎茸の写真をポストカードにしました。
シリアルナンバー入りのポストカードの6枚セットです。
ひとつとして絵柄の重複はありません。
そのため、絵柄およびシリアルナンバーの指定はできませんのでご了承ください。
クラウドファンディング終了後も同価格で販売する予定です。
※画像はサンプルイメージですので、実際の絵柄とは異なります。また色味が異なる場合がございます。
3,000円支援してくださった方には、農園オリジナルのZINE写真集を1冊お送りします。
撮り溜めた椎茸の写真で作ったZINE写真集(ミニ写真集)です。
自主制作物でページ数は32。季節を問わずに栽培される原木椎茸。個々には表情があり、ひとつとして同じものはありません。そこには見飽きることのない美しさがあります。
クラウドファンディング終了後も同価格で販売する予定です。
※画像はイメージです。実際の色味や文字とは異なる場合がございます。
4,200円支援してくださった方には、『さほろ椎茸』1kgに、オリジナルの記念ポストカード1枚を添えてをお送りします。
十勝産のミズナラ原木に5K-16菌種を植えた榾木から発生した椎茸です。 大きさや傘の開き具合の違う椎茸を無選別にお届けします。
すこし形の整っていないものも入ります。 普段使いに最適でリーズナブルな品となっております。
こちらのリターン品の記念ポストカード無しのものは、現在も同価格で販売中のものです。
支援して頂いた場合のリターン品はクラウドファンディング終了後の発送となりますので、販売中のものよりも到着には時間がかかることをご了承ください。
また、リターン品の性質上、収穫量は自然環境に左右されますので、プラスしてお届けまでにお時間を頂く場合がございます。
商品名:さほろ椎茸 産地:北海道上川郡新得町(十勝) 重量:約1.0kg 規格:優良品S~Lサイズ混載(傘3cm以上) 消費期限:到着から4~5日程 保存方法:冷蔵
※画像はイメージです。実際の個数や傘の開き具合、色味とは異なる場合がございます。
6,800円支援してくださった方には、『佐幌の椎茸』をお送りします。
十勝産のミズナラ原木に5K-16菌種を植えた榾木から発生した椎茸です。
榾木は森の中で1.5年以上の時間をかけて腐朽させました。 栽培に必要な水は日高山系からの地下水を利用しています。
貴重なLサイズの優品だけを選別しました。オリジナルのポストカード1枚も同梱します。
リターン品の性質上、収穫に自然環境に左右されますので、お届けまでにお時間を頂く場合がございます。クラウドファンディング終了後も同価格で販売致します。
商品名:佐幌の椎茸 産地:北海道上川郡新得町(十勝) 個数:4~6個 規格:優品Lサイズ(傘7cm以上) 消費期限:到着から4~5日程 保存方法:冷蔵
※画像はイメージです。実際の個数や傘の開き具合、色味とは異なる場合がございます。
12,000円支援してくださった方には、写真作品を額装してお送りします。
2LサイズのILFORD社製マット紙に顔料インクジェットプリンターで印刷した写真作品です。
SNSやイベントでは、食材としての『美味しそう』という、普遍的な感想の枠から抜け出した声も多く頂いています。
美しく表現するために活用した僕の思想も作品には乗せてあります。
作品の裏面にはサインをいれさせて頂きます。
クラウドファンディング終了後も同価格で販売する予定です。
※画像はイメージです。実際の色味や作品とは異なる場合がございます。
30,000円支援してくださった方には、ミニ写真展の開催権をお渡しします。
このリターンは、一般に開放できるスペースをお持ちの方限定とさせて頂きます。
額装写真11枚、説明パネル1枚、配布用のリーフレットを送りますので、ミニ写真展を開いてください。
スペースは廊下や飲食店の壁等でも構いません。開催に掛かる費用が発生する場合は自己負担でお願いします。およそ1~2週間をめどに開催して頂けたらと思います。
詳しい開催日時はクラウドファンディング終了後に打ち合わせて頂きます。
※入場料等のいる有料スペースでの活用や営利目的での開催はご遠慮ください。開催後は、送ったものの返送をお願いします。また、反社会勢力、宗教団体、政治結社、マルチ商法、ネットワークビジネス等に関与されている場合は、当リターンの利用をお断りいたします。リターンの誤選択や、やむを得ずキャンセルされる場合は支援金の返金に応じますが、クラウドファンディング手数料を差し引いた額になりますことをご了承ください。
スケジュール
10月中旬 クラウドファンディング終了 10月中旬以降 順次リターン発送を開始
資金の使い道
リターン制作費:約5万円 『佐幌の椎茸』広告費:約7万円(クラウドファンディング広告費含む) 手数料(17%+税):約2.8万円
最後に
誤解を恐れずに言えば、今の僕は幸せな毎日を送らせて頂いてます。
重労働でも、淡々と独りで作業をこなす毎日は居心地がよく、加えて、大好きな写真にも向き合い続けられる時間は無限で。できることならば、こんな毎日が永遠に続けばいいなと思っています。
けれども、実際は難しく。業界の情勢的にも、僕の農園が独り勝ちしても、続けられないところまで来てしまったと思っています。
『地域の栽培文化を次世代へ繋げるための費用にも使わしていただきます。』
この一文は、上記の支援金の使い道として書かせて頂いたものです。僕がしいたけの栽培を続けるためには、栽培文化を次世代へ繋げられるほどに業界全体が活性化している必要があると考えています。
具体的には、しっかりと稼げる林業、安定運営の生産組合、常識価格で良質の食材が安定供給される飲食店、等々。それらを実現できるのも、サプライチェーンの内にいる農家の強みだと思っています。
ファンに支えられている椎茸農家が、真の適正価格で原木を仕入れ、それを押し付けない価格で卸す。
あくまでも夢のような理想論で『甘すぎる』とお叱りの声が聞こえてきそうですが、僕の実現したい世界観はそんな流通の仕組みです。この世界観にすこしでも近づくために、今回のクラウドファンディングを立ち上げました。
以下の文章は、リーフレットからの抜粋です。
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当農園は原木椎茸文化圏に関わる人々の輪を大切にしていきます。原木椎茸文化圏とは、林業者様から小売、飲食店様までのサプライチェーンに加えて、地元自治体および消費者である皆様までを含んだ文化圏を称します。当農園のロゴは井桁積みにした原木をモチーフに、「原木椎茸文化圏の輪」をイメージしたものとなっております。この輪を元に、十勝の原木椎茸文化が次世代へと繋がるよう心から願っております。
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もし、この想いに共感して頂けたならば、応援や協力のほど、宜しくお願い致します。