菌床栽培の長所は、原木栽培に比べて予想を超えた事故が起きにくいことも、そのひとつではないでしょうか。 おかげで、食べたいときに安価で食べられるようになりました。それは大勢の方々が待ち望んでいたこと。 一方で、原木栽培の長所を生かした椎茸を待ち望んでくださる方は少数派。 多くの方に喜んでもらいたければ、農家も菌床栽培を選ぶことが最適と思います。 そのことに対しては自覚的でありたいですし、それを選んだ農家さんには敬意を払いたい。
それでは僕を含めた原木栽培の農家は、社会の声を蔑ろにしているかと言えば、そうでもありません。 手前みそにはなりますが、少ない声に応えることも社会貢献のひとつと、そう考えています。
ただ、お互いが少数派なので出会える機会は少なく、求めてくれる方へ届けることはもちろんのこと、知ってもらえるだけでも難しいのが現状でした。 一昨年(2022年)の夏にそれまでの取り組みを一旦白紙に戻した後、取り組んでいたのは写真の作家活動。 正直、知ってもらえる良い案が思いつかなかったので、何もしないよりかは良いだろうとの想いも少なからず在りました。 けれども、作家活動の計画が進むにつれて考え方も変わり、昨年(2023年)の春には作家活動を一旦止めて、求めてくれる方へ椎茸を届ける方法を再構築することにしました。
届ける方法は様々です。以前は『とりあえずやってみる』の掛け声で取り組んでいました。 結果は悪くはないものの、将来的な伸びしろは感じられないものばかり。 ひとつひとつの事業に繋がりが無かったことも、そう感じた理由だと思います。 そこで今回は、実現可能な理想を掲げ、そこから逆算してひとつひとつの事業をまわしていくことにしました。 はじめに手をつけたのは農園のロゴ制作。ハードルは高くともぎりぎり実現可能な理想を言語化することからはじめました。 そして、その想いをイラストに落とし込んでいきました。
原木栽培は、しいたけ農家を取り巻く多くの方々の協力の上で成り立っています。 原木を供給してくれる林業者様。種菌を供給してくれる種菌メーカー様。 技術を維持提供し、選別と卸を担ってくれている生産組合。様々な面で支えてくれている地元自治体。 そして、小売業者様や飲食店様、原木しいたけを求めてくれている皆様。 その方々のおかげで原木栽培という営みは保たれ、十勝の原木椎茸文化は維持されています。
この文化圏が活性化し、次世代へと繋がることが僕と農園の理想。 その実現のためにも、原木栽培の農家として、この文化圏の輪を牽引していきたいと。 その想いを農園のロゴに落とし込んでみました。
評判は割と上々。僕も気に入ってます。グッズを作りたいとの思いもありますが、それはまだ先のこと。 まずはこのロゴを多くの方に知ってもらうことから。 ロゴを使ったリーフレットとWebサイトの作成しました。
これを対面とWebの両方で届けていこうと決めたわけです。