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しいたけ ブログ
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乾燥椎茸の作り方

冬の栽培ハウスは良い香りがします。いつもは廃棄や自家消費している少量のハネ品椎茸。傘が割れているものや、部分的にいたみはじめてるもの。その一部を、冬は薪ストーブ上の網の上に置いておきます。良い香りの発生元はこれ。焼き椎茸になるほどの火力はないのですが、椎茸の水分を飛ばすには十分な温度。良い香りの正体は乾燥椎茸によるものでした。

とはいえ、この薪ストーブで作った乾燥椎茸は商品にはなりません。ハネ品ではなく正規品の椎茸を乾燥させても同じ。薪ストーブでは乾燥のための火力調整は難しく、換気能力もないため、椎茸の乾燥も不充分。日持ちはしませんし、なにより味がよろしくありません。やはり商品となる乾燥椎茸を作るにも知識と経験が必要です。当農園は乾燥椎茸事業から撤退してしまいましたが、以前はそこそこの量を生産していました。失敗の経験も豊富です。そこで得た乾燥椎茸の作り方を、今回は少しだけご紹介してみたいと思います。

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鮮度の良い生椎茸が必要

まずは素材となる生椎茸の品質ですが、やはり鮮度の良い生椎茸ほど良い乾燥椎茸になり得ます。乾燥させるからといって水分量の多い椎茸も不適格です。傘の内側はもちろんのこと、頭が黒い椎茸は乾燥椎茸に向いていません。乾燥に時間が掛かりますし、味や風味も薄いものになってしまします。傘の開き具合も、6〜9割り程度のものが最適です。

次に乾燥方法ですが、味に関して言えば、自然乾燥よりも機械乾燥の方が上です。自然乾燥は太陽光に当てて乾燥させるのですが、同時にビタミンDが増えるという利点があります。ただ、ビタミンDはほかの食品(青魚等)から効率的に摂取できるので、あえて乾燥椎茸から摂る必要もありません。一方、機械乾燥は一気に乾燥できますので、品質の良い乾燥椎茸が作れます。また、良い乾燥椎茸を作るには、温度はもちろんのこと、段階的に送風と換気をコントロール必要があります。自然乾燥に比べて、燃料や手間のコストが掛かってしまいますが、品質の良い乾燥椎茸を作るならば、機械乾燥を選ぶ必要があるというわけです。

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エビラに並べた生椎茸

機械乾燥では生椎茸をエビラと呼ばれる網の上に並べていきます。並べ方は、傘が重ならないように。足は上向きに。蒸発した水蒸気は傘の内側から出ていくものが多いから。傘を上向けにして湿気が籠らぬようにします。

乾燥工程は3段階あります。最初は35~40℃で送風は排気モード。傘と足の付け根が固くなるまで乾燥させます。ここが柔らかかったり、スポンジ状にフワフワしていたら乾燥不足。ここで充分に乾燥させるので、椎茸の大きさにもよりますが、時間にすると12~24時間以上。肉厚の椎茸であったり湿度の高い日ですと、もっと時間は掛かります。経過時間に縛られることなく、傘と足の付け根の固さを確認しながら乾燥させていきます。

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乾燥椎茸は水で戻して使う

充分に傘と足の付け根が固くなったら、温度を少しずつ上げていきます。送風は半循環モード。5℃上げて2時間。これを繰り返して55℃まで上げていきます。その後は仕上げとして60℃で3時間。送風は循環モード。この工程で乾燥は終わります。

良くできた乾燥椎茸は、生椎茸と比べて重量が1/6~10になります。傘の内側は黄金色。香ばしくも旨味成分から来る甘い香りが周囲に立ち込めます。そのままにしておくと空気中の湿気を吸ってしまうので、手早く乾燥材入りの密封包装をする必要があるのですが、すぐに使うのであれば、密封できるタッパーなどでも十分です。

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密封包装した乾燥椎茸

以上が、当農園で行っていた乾燥椎茸の作り方です。多くの方からお褒めの言葉を頂いていた乾燥椎茸ですが、ずいぶん前に生産を止めてしまいました。理由は採算が取れないからです。乾燥器は所属している生産組合のものを使っていたのですが、大きいので燃料代も多く、一度に大量の乾燥椎茸を作る必要がありました。それでも以前は季節になると早生品種の自然発生分で1日に100kg以上取れることもあったので生産を行っていたのですが、現在の品種ではそうもいかなくなりました。他にも、乾燥中は頻繁に確認と操作が必要なこと。燃料代や包装代、在庫費用、手間賃を価格に反映しづらいこと。そうした理由で撤退してしまいました。

願わくば、再生産したい乾燥椎茸。小型の乾燥機を購入しての受注生産、もしくは定期購入型での販売、等々。再開を目指して検討は続けています。

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