- SHIITAKE BLOG -
しいたけ ブログ
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僕にとっての写真は

『なぜ、椎茸の写真を毎日撮っているのですか?』

これも、よく取材時に聞かれる質問です。同時に、答えに困ってしまう質問でもあります。きっと『椎茸の美しさに魅せられて』のような答えを出せればよかったのかも知れませんが、そう答えてしまうと後ろめたい気持ちも現れて。もちろん、椎茸の美しさに魅せられている部分もあるのですが、それがすべてではありません。結局、答えに詰まって口から出る言葉は『写真が好きだから』。それも嘘ではないのですが、今回はもうすこし毎日椎茸を撮っている理由を深堀りしたいと思います。

000海岸の岩肌に刻まれたタフォニ

僕の写真は、僕のために撮っている写真。僕が良いと思える写真を目指して撮っています。そんな利己的な写真を撮るための方法は、Webや写真展にありました。けれども、技術的なものを身に着けても、目指している場所へは行けないと思うようにもなりました。被写体の選定基準も然りです。そのときに必要だったのは『美しいと思う気持ちの本質』を考えること。奇しくも、その答えは当時の仕事の中にありました。

人の本質を考える。人としての在り方を考える。人としての固定観念を外すと、人の道を外れた感覚にも襲われます。ただ、そこにひとつの答えがありました。それが色濃く出ている被写体を選ぶ。そこが際立つように撮る。いつしか、そんな撮影スタイルになりました。被写体を求めて遠出する必要もなくなりました。同時に、足りないものが多くあることを痛感しました。必要なことは反復練習と試行錯誤の繰り返し。それが『毎日撮っている』理由です。

000風化した雪原の足跡

ですから、誤解を恐れず言えば、被写体は必ずしも椎茸である必要はありません。極論、地面でも階段でも、落ちてる石でもいい。けれども、被写体として原木栽培の椎茸は優秀です。美味さ等に振切っているものなら尚更。僕が栽培者でもあるので、ある程度のコントロールが出来るのも魅力のうち。それが『椎茸の写真を撮っている』理由です。

000首都高速の下にある日本橋川

願わくば、僕が死んでしまう前までには、心の底から良いと思える写真を撮って眺めてみたい。この写真活動がいつまで続けられるか分かりませんが、今は淡々と積み重ねていきたいです。一方で、その副産物のような椎茸と写真を待ち望んでくれる方々もいて、本当に僕は幸せ者だと思います。包み隠さずに言えば、この地域の原木椎茸文化が続くことで、僕のこの写真活動も続けられます。最末端の目的は僕の利己的なものですが、だからこそ頑張れる部分も多くありますし、関わって下さっている方々にも恩恵を受けてほしい。そんなことを想いながら、今日も明日も明後日も、引き続き椎茸を撮り続けていこうと思います。

 

※ これにてブログ全12話は完結です。読んでくださった方、ありがとうございました。 これ以上書く予定はなかったのですが、変更して、今後も不定期で書いていくことにしました。 そのようなわけで、引き続き、よろしくお願い致します。

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